藤丸詩織は目を輝かせ、尋ねた。「椎名先生、よろしければ……」
椎名妙は詩織の言葉を遮って答えた。「いいわよ」
椎名妙:「今回来たのは、あなたが詐欺師じゃないと信じているって伝えたかったの。東京で刺繍業界を発展させたいと思うわ。それと、謝らなければならないことがあるの。あの時、門前で待たせてしまって申し訳なかった」
藤丸詩織は首を振り、優しく言った。「気にしないでください。全ては以前あなたを騙した人たちが悪いんです。彼らがいなければ、あなたもそこまで警戒することはなかったはずです」
藤丸詩織は椎名妙を見つめ、尋ねた。「椎名先生、体調の悪いところはありませんか?診させていただきましょうか」
椎名妙は病院にいなかったものの、池内眠から藤丸詩織が医術を心得ていて、多くの人々を救ったことを聞いていた。そのことを思い出すと、彼女を見る目がより優しくなった。