桜井蓮は数秒間呆然としたあと、我に返って中に突っ込もうとした。
相良健司はその様子を見て、急いで桜井蓮を引き止めた。「桜井社長、今は危険すぎます。援助を呼んだほうがいいんじゃないでしょうか!」
桜井蓮は相良健司の手を振り払った。「援助が来たら手遅れになる。」
相良健司は桜井蓮の決意の固さを見て、引き止めるのを諦めた。ただし……
相良健司:「桜井社長、藤丸さんを探しに行く必要はありません。彼女は戻ってきました。」
桜井蓮は喜んで相良健司の視線の先を見たが、藤丸詩織が老人を支え、その傍らに榊蒼真がいるのを見て、表情が暗くなった。
藤丸詩織はよくやってくれた。綾部市に来たことを彼に告げずに、榊蒼真を連れてきたとは。
その時、地面が突然激しく揺れ、藤丸詩織たち三人のいる周辺には数軒の家があり、それらは今にも崩れそうに揺れていた。