346私は知りたくない

藤丸詩織は、ゆっくりと目を開け、ぼんやりと白い天井を見つめた。

全身が痛くて力が入らず、頭がぼーっとして、何かを忘れているような気がした。両手でベッドを支えて起き上がろうとした。

榊蒼真は急いで病室に入り、藤丸詩織を支えながら心配そうに言った。「お姉さん、動かないで。もう少し休んでください。」

藤丸詩織はベッドに戻り、困惑して尋ねた。「私、どうしたの?」

榊蒼真は一瞬固まり、「覚えていないんですか?」

藤丸詩織は少し考えてから口を開いた。「温水鶴さんと提携が決まって、お酒を一杯飲んだところまでは覚えているけど、その後は記憶がないわ。」

榊蒼真は唇を噛んで答えた。「薬を盛られたんです。」

薬を盛られた?

藤丸詩織は頭を抱え、断片的な記憶が蘇ってきたが、それらは曖昧で具体的な状況は分からなかった。