345 春薬を盛られる

藤丸明彦は香月蛍に教えられるまでもなく、自分でもそう考えていた。「安心して、その時は裸の写真を何枚も撮らせて、メディアにリークさせるから!」

香月蛍は満足げに電話を切った。

藤丸詩織は温水鶴との商談を終えて、個室に戻ろうとした。しかし、数歩歩いただけで、頭がくらくらし始め、足取りが不安定になってきた。

藤丸詩織はイライラしながら頭を掻き、疑問に思った。酔っているのだろうか?

しかし、その考えはすぐに否定された。自分の酒量は把握しているし、今日はほんの数口しか飲んでいないのだから、酔うはずがない。

藤丸詩織は自分の脈を取り、媚薬を盛られたことを知ると、信じられない様子で目を見開いた。

自分でツボを押さえた後、急いで個室に向かい、橘譲に家まで送ってもらおうとした。

しかし、藤丸詩織は薬の効果を甘く見ていた。ツボを押さえても数秒しか意識が保てず、すぐにまた朦朧とし始め、体はどんどん熱くなり、次第に火照ってきた。