341 投票の不正行為

香月蛍は冷たい声で司会者の言葉を遮った。「ちょっと待って!」

全員の視線が一斉に香月蛍に向けられた。

香月蛍はテーブルを叩いて立ち上がり、冷たい声で詰問した。「私は若宮佳奈より数千万票も多いのに、なぜ彼女が一位なの?藤丸さんのような大企業でこんなミスが起こるなんて信じられないわ。でも、私のために特別賞を設けてくれるなら、今回は大目に見てあげてもいいわよ!」

司会者は真剣な表情で答えた。「申し訳ありませんが、主催者側には特別賞を設ける予定はございません。」

藤丸詩織がステージに上がり、香月蛍を真っ直ぐに見つめながら淡々と言った。「以前も申し上げた通り、藤丸さんは公平公正を重んじており、不正投票は認めません。」

香月蛍は藤丸詩織が何かを知っているような気がして、怯えて視線を逸らした。落ち着きを取り戻すと、慌てて言い返した。「私は不正なんてしていません!それに、あなたも藤丸さんのシステムは堅牢だと言っていたじゃないですか。私にそんなことができるはずがありません!」

藤丸詩織は頷き、数秒後にもう一度尋ねた。「本当にそうですか?」

香月蛍は「も、もちろんです!」と答えた。

藤丸詩織はパソコンの前に歩み寄り、キーを数回押すと、上位三名の得票数が大画面に表示された。

藤丸詩織は「これが私たちのコンテストの得票数です」と説明した。

大画面には若宮佳奈、羽鳥新菜、高遠蒼の名前が表示され、それぞれの名前の後ろには青い棒グラフが表示されていた。得票数が多いほど棒グラフは長くなり、同時に得票数も表示されていた。

若宮佳奈は5000万票、羽鳥新菜は2000万票、高遠蒼は600万票を獲得していた。

香月蛍は藤丸詩織がなぜこれを表示したのか理解できず、冷たい声で尋ねた。「これが何を意味するというの?」

藤丸詩織は淡々と答えた。「すぐにわかります。」

大画面の表示が切り替わり、香月蛍の名前が表示された。彼女の名前の後ろの青い棒グラフには1800万票、薄い黄色の棒グラフには8200万票、合計1億票が表示されていた。

観衆は驚いて叫んだ。「なんてこと、1億票!」