355 彼女は優しくて温和

その時、ファッションショーの会場の入り口で。

水野月奈は野球帽を被り、マスクをつけ、周りを見回して誰もいないことを確認すると、焦りながら携帯を取り出して水野琳にメッセージを送った。

水野月奈:おばさん、着いたけど、誰も迎えに来てないの?

水野琳:もうすぐよ、もう少し待って。さっき電話で催促したところだから。

水野月奈はまた入り口で暫く待っていた。ちょうど彼女が苛立ち始めた時、一人の女性が出てきて、彼女の傍を通り過ぎる時にこっそりとカードを渡した。

女性:「このカードを警備員に見せれば、中に入れるわ。」

水野月奈はカードをしっかりと握り、緊張しながら中に入っていった。中の豪華絢爛な光景を目にした時、瞳の奥に嫉妬の色が浮かんだ。

水野月奈は心の中で密かに誓った。今回は必ずうまくやり遂げてみせる。そうすれば、これからは堂々とパーティーに参加できる。こそこそと隠れるようなことはしなくて済む!