桜井雨音は病室に入ると、水野月奈が怒っている様子を目にした。手に持っていたバッグを脇に置き、笑いながら声をかけた。「どうして一人でいるの?自分で自分を怒らせているの?」
水野月奈は桜井雨音を見て、結婚式の後の軽蔑的な態度を思い出し、冷たい声で尋ねた。「何しに来たの?」
桜井雨音は水野月奈を見つめ、淡々と言った。「私に対するその態度、気に入らないわ」
水野月奈はいい加減に応えた。「ふーん」
桜井雨音は水野月奈の態度に不満を感じ、怒りかけたが、ある事を思い出し、口角を上げて言った。「自分に対して随分厳しいのね。お兄さんの信頼を得るために、自分で仕組んだ火事で自分から怪我をするなんて」
水野月奈は慌てた表情を見せ、すぐに落ち着きを取り戻して言った。「何を言っているのか分からないわ」