水野月奈はもちろん、誰かに先を越されるのを許さなかった。せっかく手に入れたチャンスなのだから。
このホテルは柳瀬淮の所有物で、水野琳は彼から予備の鍵を受け取っていた。
水野月奈はどう考えても不安で、最終的に桜井蓮のベッドで直接待つことに決めた。
レストラン。
藤丸詩織は実のある会話があると思っていたが、柳瀬淮の話は建前ばかりで、次第に退屈になり、思わず上の空になってしまった。
彼女は今、柳瀬淮との提携が実は間違った決断だったのではないかと疑い始めていた。
桜井蓮は箸で料理を取り、藤丸詩織の皿に置きながら、優しく言った。「この料理は美味しいよ、食べてみて」
藤丸詩織はお礼を言ったが、箸を動かすことはなかった。
桜井蓮は時折、藤丸詩織に視線を向けていた。
柳瀬淮に誘われた時、彼は実は相手にしたくなかったが、これを口実に藤丸詩織を誘い出せると考え、柳瀬淮の誘いを受けることにした。