「難しくない?ツール?」
プログラマーたちは困惑した表情を浮かべ、無意識に藤丸詩織の後ろに集まり、彼女がどのように解決するのか画面を食い入るように見つめていた。
藤丸詩織はバッグからUSBメモリを取り出し、パソコンに差し込むと、すぐに新しい画面が表示された。
彼女はキーボードを軽く叩き、大量のコードが素早く点滅し始めた。
若い男性たちは藤丸詩織の後ろに立ち続けていたが、彼女がどのように操作しているのか分からず、次第に困惑した表情になっていった。「すごい、どうやってるんだ、本当に凄すぎる!」
桜井蓮は藤丸詩織の後ろに立って見ていなかったものの、時々パソコンの画面に目を向けており、コードが点滅するのを見て彼も呆然としていた。
藤丸詩織は両手で素早くキーボードを打ち続け、最後には指の残像しか見えないほどだった。
10分後、藤丸詩織は動きを止めてUSBメモリを抜き、痛む手首をさすりながら淡々と言った。「終わりました。監視カメラの情報は復元できました。確かに少し処理が難しく、時間がかかりましたね。」
相良健司は驚いて言った。「たった10分ちょっとで解決したんですか!それほど時間はかかってないじゃないですか。だって桜井社長は...」数時間かけても解決できなかったのに。
相良健司は周囲の冷たい空気と、ある熱い視線を感じ取り、すぐに桜井蓮が警告していることに気づき、慌てて口を閉じ、言いかけた言葉を飲み込んだ。
桜井蓮は相良健司を再度睨みつけた後、藤丸詩織に向かって言った。「ありがとう。本当に助かった!」
藤丸詩織は脇のバッグを手に取り、すぐに立ち去ろうとした。
桜井蓮は藤丸詩織の後ろ姿に気づくと、急いで追いかけて声をかけた。「送っていくよ。」
藤丸詩織は冷たく断った。「結構です。」
藤丸詩織の言葉が終わるか終わらないかのうちに、携帯が鳴った。見てみると榊蒼真からのメッセージだった。
榊蒼真:詩織、神崎湊の訓練は上手くいってるよ。僕の指導も必要ないくらいだ。もう1時間経ったけど、そっちはだいたい終わった?迎えに行くよ。
藤丸詩織:もう終わったわ。来なくていいから、タクシーで帰るわ。
榊蒼真:もう建物の下にいるよ。