399 彼には資格がない

水野月奈は表情を硬くし、藤丸詩織に向かって叫んだ。「自惚れないでよ!蓮お兄さまがあなたに執着するわけないでしょう!」

藤丸詩織は水野月奈に構わず、立ち去ろうとした。

水野月奈はまだ話し続けていた。「蓮お兄さまが好きなのは私よ。あの人があなたに執着するはずがないわ。きっとあなたの方が執着してるのに、認めようとしないのね!」

榊蒼真が近づいてきて、ちょうど水野月奈のその言葉を聞いた。冷たい声で言った。「桜井蓮如きが詩織に執着されるだなんて笑わせるな。明らかに彼が藤丸さんのところまで来て詩織を呼びに来たんだ」

藤丸詩織は声のする方を見て、不思議そうに尋ねた。「どうしてここに?」

榊蒼真は藤丸詩織の傍に来て、素直に答えた。「ずいぶん出てこないから、少し心配で...」

藤丸詩織は頷いて、小声で言った。「行きましょう」