391 連絡の必要なし

藤丸詩織は「彼女の子宮はもう修復しました。しばらく休養すれば、以前と変わりありません」と言った。

藤丸詩織の言葉は、まるで海に投げ込まれた小石のように、医師たちの表情をより興奮させた。

「名医様、本当に素晴らしいです」

「私たちの従来の医術では、患者を立たせることさえ難しかったのに、まして普通の人と変わらないなんて」

「私も医術をしっかり勉強して、将来は名医様のように凄くなりたいです。いや、半分でも凄ければ、ほとんどの医師を超えられるでしょう」

……

葛城良平も急いで口を開いた。「名医様、手術費用はいくらでしょうか？口座に振り込ませていただきます」

藤丸詩織は「手術費は要り…」

藤丸詩織は言いかけて、突然先ほど桜井雨音の手術をしていたことを思い出した。

医の心のために、彼女が過去に自分をいじめたことを気にしないとしても、無償というわけにはいかない。

藤丸詩織は目を上げ、淡々と言った。「後ほど銀行口座番号をお送りしますので、患者のご家族に100億円を振り込んでいただきたいです」

100億円！

葛城良平は驚いたが、すぐに応じた。「はい、患者のご家族にお伝えします」

藤丸詩織は裏口から大股で出て行った。

葛城良平は藤丸詩織の背中を見つめながら、思わず口にした。「名医様が私の病院で働いてくれたらなあ」

主治医は「院長、夢見るのはやめましょう。名医様は一回の手術で100億円ですよ。とても雇えません。それに、お金に困っているわけでもないでしょう」

葛城良平は現実に引き戻され、恥ずかしさと怒りで「夢を見ることさえダメなんですか？」と尋ねた。

葛城良平の携帯が一度鳴り、見てみると銀行口座番号が表示されていた。待っている桜井蓮のことを思い出し、外に出た。

桜井蓮は笑いじわだらけの葛城良平の顔を見て、尋ねた。「手術は成功しましたか？」

葛城良平は何度もうなずいた。「もちろんです。桜井雨音様の子宮は修復に成功し、休養後は普通の人と変わりなく過ごせます！」

高遠蘭子は目を開いたばかりで葛城良平の言葉を聞き、興奮のあまり再び気を失った。

桜井蓮はこのニュースを聞いて、心の中でほっとした。

葛城良平は口座番号を取り出し、「桜井社長、これが名医様の口座番号です。手術費として100億円を振り込むようにとのことです」と言った。