桜井蓮は呆然として、疑わしげに尋ねた。「藤丸詩織を追いかける方法を考えるって?」
周防司は頷いて言った。「二日後にチャリティーパーティーがあって、藤丸詩織も参加するはずだ。彼女に近づくには絶好の機会だと思う」
桜井蓮は眉をひそめ、周防司を探るような目で見つめた。
桜井蓮は言った。「お前も藤丸詩織のことが好きだったはずだろう。なんで今になって俺を助けようとするんだ?」
周防司はため息をつき、淡々と言った。「現実を見つめ直したからさ。藤丸詩織が俺のことを好きになることはないし、親友である君が恋で苦しんでいるのを見るのが辛くてね。だから少しでも力になりたいと思ったんだ」
桜井蓮は心の中で躊躇した。「本当にそんな親切なのか?」
周防司は思わず笑い出し、桜井蓮の肩を叩いた。「会社に用事があるから先に行くよ。最後の選択は君次第だ」
車に乗っている時、彼は後悔せずにはいられなかった。桜井蓮が疑うと分かっていたら、手助けなんてしなかったのに。せっかくの善意が無駄になってしまった。
チャリティーパーティーは東京で幕を開けた。この晩餐会は盛大に開催され、多くの名門が集まっていた。
慈善活動への寄付も目的の一つだが、最も重要なのは人脈を広げ、将来の会社の発展につなげることだった。
榊詩門は窓の外を見ていた視線を戻し、藤丸詩織の方を向いて微笑みながら尋ねた。「詩織、外にはたくさんのマスコミがいるけど、緊張してる?」
藤丸詩織は軽く笑って答えた。「緊張してないわ」
榊詩門は頷いて笑顔で言った。「詩織はこんなに綺麗だから、きっとみんなを驚かせることになるよ」
藤丸詩織は少し照れながら、白いスーツを着た榊詩門を見つめた。「今日の服装、とても優しい印象で似合ってるわ」
榊詩門は目を細めて笑った。「詩織が気に入ってくれて良かった。パーティーで気に入ったアクセサリーがあったら遠慮なく言って。プレゼントするから」
二人が話している間に、車は会場に到着した。
榊詩門が先に降り、藤丸詩織のためにドアを開け、彼女の降車を手伝った。
記者たちは既に撮影を始めており、フラッシュが絶え間なく光る中、小声で会話を交わしていた。
「このカップル、誰か知ってる?」
「知らないわ。去年までのパーティーでは見かけなかったけど、すごく綺麗な二人ね。お似合いすぎて目が離せないわ!」