少なくとも、蘇我紬は必要な時に十分な世話を受けていた。
この一点だけでも、蘇我紬にとっては心に刻んで、将来恩返しをすべきことだった。
蘇我紬の林与一に対する見方の変化は、いつの間にか起こっていた。
彼女が断ったと分かっていながらも、困った時に助けてくれる。蘇我紬は、彼らの友情は純粋なものになれるかもしれない、あるいは距離を保ちながら維持できるかもしれないと感じていた。
そして、ゆっくりと林与一に次の恋愛を受け入れさせようとしていた。
こうして蘇我紬も一つの心配事が解消され、林与一の前でも話好きになっただけでなく、話題は自然と林与一を導くことに向かっていった。
林与一がどんなに鈍感でも、彼女の意図は分かっただろう。
林与一は苦笑いしながら、二人の食事の後片付けをゆっくりとしながら、やむを得ずこの件について口を開いた。