194 蘇我紬の変化

林与一は出て行き、何も言わずに立ち去った。

蘇我紬はただ呆然と、林与一が何をしようとしているのか理解できなかった。

しかし、呆然としてから数秒後、彼女の表情は淡々としたものに戻り、先ほどの感情は完全に消え去り、ただ虚ろな目で壁の隅を見つめていた。

携帯電話も見ず、携帯電話の中にも見るべきものは何もないと感じていた。

退屈だった。

つまらなかった。

おそらく、ぼんやりとした世界の中では、すべての思考が蘇我紬に従うので、彼女はこの感覚が好きだった。

林与一は病室を出て、医師を探しに行った。

医師に会うと、いきなり切り出した。「この病院はどうなっているんですか?なぜ患者はどんどん痩せていくんですか?彼女は回復期のはずでしょう?病院の食事は管理していないんですか?」

林与一について言えば、本人は控えめだと思っているかもしれないが、S市の医学界では、林与一の名声は誰もが知るほど高く、それは彼の師匠が著名な専門家だったからだ。

救急室の生きた仏様と呼ばれ、彼に出会えば誰もが閻魔様の手から人を奪い返す能力があると言われていた。

人体に対してほぼ病的なまでのこだわりを持ち、研究を極めていた。

残念ながら、そのような人物が若くして亡くなり、四十代で他界した。

交通事故で。

そして林与一は彼の唯一の弟子で、丸五年師事していた。

林与一のこの質問に、医師は不快感や怒りを感じるどころか、林与一が心配のあまり混乱しているのだと理解し、忍耐強く慰めるように言った。「林先生、蘇我さんのことですか?」

林与一も自分の失態を自覚していた。蘇我紬があのような状態になったことを考えると、まるで息が詰まるような感覚で、少し力を入れただけで痛みを感じた。

彼は感情を落ち着かせ、少し冷静になろうとして、そして尋ねた。「そうです。最近は誰が付き添っているんですか?」

医師はその言葉を聞いて、やや困ったような表情を見せながら言った。「林先生、蘇我さんは影山社長の手配で来られた方です。そのため、病院は決して彼女をないがしろにしたことはありません。どのような場合でも、この病院は影山氏の大株主でもありますから。」

その言外の意味は明らかだった。

林与一の表情が一瞬で暗くなった。「つまり、彼女をこんな状態にしたのは影山瑛志だということですか?」