「子供のことは後で考えましょう。おじいちゃんの具合はどうですか?」蘇我紬は適切にこの話題を変えた。
久世澪はそれを聞いて、頷いた。「おじいちゃんはまだ意識不明のままよ」
蘇我紬はため息をつき、心の中で悲しんだが、この件は焦ってはいけないことも分かっていた。
「この二日の間におじいちゃんに会いに行きましょう。少し会いたくなりました」
「ええ」
...
おじいちゃんを見舞う日は、退院の翌日の午前中に決まった。
蘇我紬は久世澪に付き添われて来た。退院してから今まで、影山瑛志には会っていなかったが、特に期待も失望もしていなかった。
ただ、心の中で確信したのは、影山瑛志が彼女に対して感じているのは、ほとんど罪悪感に過ぎないということだった。
彼女もこの不吉な話題には触れたくなかった。そして、子供のことを考えると、蘇我紬の心にはまだ引っかかりがあった。この機会に離婚するのも、彼女にとっては良いことだった。