255 毎日ケーキを作る!

蘇我紬はここで快適に暮らしていた。

食事も住まいも良く、景色も素晴らしかった。

一人暮らしと比べると、他人に世話をしてもらう方が当然快適だった。

ただ、あまりにも退屈で、暇すぎた。

今の彼女の顔には「暇」という文字が書かれているようだった。

以前、執事にケーキ作りの道具一式を用意してもらったが、作っても分け合う相手がいないことに気づいた。SNSに投稿する機会さえ奪われていた。以前のアカウントは全て停止していたのだ。

友達に見てもらえないし、新しいアカウントを作らなければならない。

この日も、蘇我紬はケーキを作り終えると、いつものように世話をしてくれているおばさんたちに分けた。

しかし、おばさんたちは年配で、一番若い人でも蘇我紬より15歳年上で、子供は既に中学生だった。

蘇我紬は大きなケーキを2つ作った。味にはとても厳しかった。

「みなさん、手を止めて大丈夫ですよ。そんなに急ぐことないから、まずはケーキを食べましょう。早く早く!」

蘇我紬が呼びかけると、最初はみんな非常に熱心で、彼女を絶賛していた。本当にお金持ちで、気取らず、親しみやすく、付き合いやすい。何より、美しくて品があると思っていた。

ここに来る人は皆、彼女のことが大好きだった。

キッチンスタッフは3人のおばさんで、年齢が高めで、甘いものはあまり食べなくなっていた。

一度や二度なら良いが、毎日食べ続けるのは誰にも無理だった。

蘇我紬が一人一切れ配り終え、執事にもう一切れ追加しようとした時、執事はすぐに自分の皿を守り、断るような表情で言った。「蘇我さん、本当にもう無理です。もう食べられません。」

「さっきのはほんの少しでしょう?もう一度味見してください。あなたの評価が一番的確なんです。私に進歩があったか見てください。」

蘇我紬も話し相手がおらず、今ではここの人たちと少し話せるようになり、とても親しくなっていた。

執事は苦い顔をして、落ち込んだ様子で言った。「年を取ると、毎日こんなに糖分を摂取するのは本当に無理になってきますね。本当に年を取りましたよ。」

蘇我紬も無理強いはせず、残りの1個半のケーキを見て、悩み始めた。

携帯に撮った見栄えの良い写真を見て、さらに悩んだ。