267 電話が来た

思いがけず、夏川澄花は気にも留めずに言った。「もっと自分に自信を持ってよ。紬、冗談じゃないわ。芸能界ではブランド価値のある高級なものが重宝されるの。ファンに見せるのも一つだけど、人脈を広げるためにもそういうものが必要なのよ」

蘇我紬は頭を掻きながら、「そうね、ブランド価値って分かってるわ。でも私なんて何者でもないし、ブランドなんてないわ」

夏川澄花は首を振り続けた。「ちょっと待って。紹介したい人がいるの。信じて。彼女は国内外で有名なパティシエよ。芸能界だけじゃなく、本当のお金持ちやセレブの奥様たちにも大人気なの」

蘇我紬は曖昧に頷いた。「すごいね...」

「当たり前よ。二人を紹介するから待ってて。絶対、彼女はあなたのことが気に入るわ。彼女のブランドは最高級で、海外でも大人気。彼女を通じて有名になれるわよ」