307 パートナー

パティシエとの約束の日、蘇我紬は特別に15分早く到着した。

二人は新しくオープンしたカフェで待ち合わせていた。

夏川澄花がパティシエと一緒に来た時、澄花は絶え間なく話し続けていたが、隣の人は時々相づちを打つだけだった。

蘇我紬は澄花を見かけると、手を上げて挨拶した。「澄花、ここよ。」

澄花も熱心に応え、二人が近づいてきた時、澄花は蘇我紬にパティシエを紹介した。「紬、これが前に話していた国内外で有名なパティシエの新條結月よ。」

「はじめまして。」

初対面なので、礼儀正しく、蘇我紬は微笑みながら右手を差し出した。

「新條社長、彼女が私が話していた蘇我紬です。お菓子作りの才能が並外れています。」

澄花は惜しみなく蘇我紬を褒めた。

新條結月はサングラスをかけていたが、澄花の言葉を聞いて、少しだけサングラスを下げ、蘇我紬を見上げた後、すぐにまたサングラスを上げ、右手を差し出して蘇我紬と握手し、淡々と「はじめまして」と言った。