313 割れた鏡は元に戻らない

「いいえ、違います、瑛志さん。これは全部私の好物なんです」蘇我紬は首を振り続けた。「でも瑛志さん、私、申し訳ありません...」

影山瑛志は眉をひそめた。これは今日二回目の「申し訳ありません」だった。しかし、彼女は一向にその理由を話そうとしなかった。

影山瑛志は箸を置き、蘇我紬を見つめた。「紬、私たちはやっと再び一緒になれたんだ。これからも長い道のりを歩んでいかなければならない。どんなことが起きても、二人で乗り越えていこう?」

ここまで話が進んで、蘇我紬は思った。もう話さなければ、本当に瑛志さんを裏切ることになる。

でも、瑛志さんのこの様子を見ると、胸が痛くて仕方がなかった。

結局、一度話してしまえば、瑛志さんを失うことになるのだから。

短い沈黙の後、蘇我紬は俯いたまま言った。「瑛志さん、私がもう一緒に歩めなくてごめんなさい。たぶん以前の白川蓮の影響が大きすぎて、私たちの間に溝ができてしまったのかもしれません。一度割れた鏡は本当に元には戻らないのかもしれません。私たち、これ以上お互いを傷つけ合う前に、ここで終わりにした方がいいと思います」

影山瑛志は一瞬固まった。様々な理由を考えていたが、まさかこんな答えが返ってくるとは思っていなかった。

「なぜだ?この数日間、俺たちはうまくやってきたじゃないか。おじいさんの体調が良くなったら入籍すると言ってくれて、俺がどれだけ嬉しかったか分かるか?なのに今、割れた鏡は元に戻らないなんて言うのか」影山瑛志は怒りを含んだ冷たい声で言った。

蘇我紬は黙って涙を拭った。彼女の心も血を流していた。

誰が愛する人と別れたいと思うだろうか?

「ごめんなさい、ごめんなさい、瑛志さん」蘇我紬は泣きながら謝り続けた。それがどれほど無力なことか分かっていても。

影山瑛志は蘇我紬のそんな可哀想な様子を見て、結局心が和らいだ。なるべく優しい声を出そうと努めた。「紬、何か言えない事情があるんだろう?話してくれないか?一緒に解決していこう。せっかく再び一緒になれたのに、簡単に別れるわけにはいかないだろう?」

「何もありません。全部本当のことです。私を信じてくれるんじゃないですか?どうしてこの言葉は信じてくれないんですか?」

蘇我紬の心は締め付けられるように痛んだ。