「いいえ、違います、瑛志さん。これは全部私の好物なんです」蘇我紬は首を振り続けた。「でも瑛志さん、私、申し訳ありません...」
影山瑛志は眉をひそめた。これは今日二回目の「申し訳ありません」だった。しかし、彼女は一向にその理由を話そうとしなかった。
影山瑛志は箸を置き、蘇我紬を見つめた。「紬、私たちはやっと再び一緒になれたんだ。これからも長い道のりを歩んでいかなければならない。どんなことが起きても、二人で乗り越えていこう?」
ここまで話が進んで、蘇我紬は思った。もう話さなければ、本当に瑛志さんを裏切ることになる。
でも、瑛志さんのこの様子を見ると、胸が痛くて仕方がなかった。
結局、一度話してしまえば、瑛志さんを失うことになるのだから。
短い沈黙の後、蘇我紬は俯いたまま言った。「瑛志さん、私がもう一緒に歩めなくてごめんなさい。たぶん以前の白川蓮の影響が大きすぎて、私たちの間に溝ができてしまったのかもしれません。一度割れた鏡は本当に元には戻らないのかもしれません。私たち、これ以上お互いを傷つけ合う前に、ここで終わりにした方がいいと思います」