315 蘇我紬が消えた

蘇我紬は首を振って、「いいえ、彼は何も悪くないわ。私が彼に申し訳ないことをしたの」と言った。

夏川澄花は心配そうに蘇我紬を見つめて、「紬、昨夜一体何があったの?昨夜久世叔母があなたがいないことに気付いて影山さんに電話したの。影山さんはすごく心配して、私にあなたが一緒にいないか聞いてきたけど、私も新條社長と帰った後はあなたがどこに行ったのか分からなくて」

夏川澄花は以前蘇我紬をいじめていた影山瑛志のことは嫌いだったが、昨夜影山瑛志が蘇我紬の連絡が取れないと聞いた時の、あの必死な様子は今でも忘れられない。

夏川澄花は心の中で影山瑛志への見方が少し変わっていた。

蘇我紬は皆が心配してくれているのは分かっていたが、あんなことは口に出せるはずもなく、話題を変えて聞いた。「澄花、林与一という人をどう思う?」