321 大乱闘

林与一は影山瑛志の脅しを恐れず、春風のように微笑んで言った。「影山さん、私も蘇我さんに好意を持っていますが、卑劣な真似をするつもりはありません」

影山瑛志は林与一が嘘をついているようには見えなかったため、胸の中の憤りも幾分か和らいだ。

二人の間の雰囲気が少し和らいだその時、影山瑛志の携帯電話が鳴った。

久我星哉からの電話だった。

影山瑛志が電話に出ると、向こうから怒り狂った声が聞こえてきた。「瑛志、お前、寝取られたんじゃないのか？あの動画は一体どういうことだ？いきなり急上昇ランキング1位になってるぞ！」

何？

寝取られただと？

どんな動画？

影山瑛志は一瞬戸惑い、目の前の林与一を見つめ、昨夜の蘇我紬の誘拐事件を思い出した。すぐに携帯電話を開くと、案の定、急上昇ランキング1位にその動画があった。

動画には二つの裸体がベッドで絡み合い、一枚の布団だけがかろうじてその春の光景を隠していた。

影山瑛志はその見慣れた顔を一目で見分けた。紛れもなく蘇我紬だった。

影山瑛志は瞬時に携帯電話を握りしめ、手の甲に青筋が浮き、眉間に怒りの炎が燃えていた。「早乙女燐に電話して、ランキングを下げろ！俺は今、少し用事を処理する」

そう言うと影山瑛志は急いで電話を切った。

林与一は何が起きたのか分からなかったが、影山瑛志の表情が良くないのを見て、心臓が締め付けられる思いがした。

影山瑛志は何も言わず、すぐに林与一の顔面に拳を叩き込んだ。「紬に何もしていないと言ったな？」

林与一はこの一撃を予期せず食らい、眉をひそめて言った。「本当に何もしていません。昨夜は同じベッドにも入っていません！」

しかし影山瑛志は何も聞く耳を持たず、頭の中はあの動画のことでいっぱいで、林与一の言葉など信じられるはずもなかった。「林与一、もう言い訳はやめろ。動画が出回っているんだ、言い訳しても無駄だ！紬に他の影響が出ないことを祈るんだな。さもないと、お前も林家も、誰一人として逃げられない！」

この時の影山瑛志は、まるで理性を失った怒れるライオンのようだった。

影山瑛志は更に何発も林与一の体に拳を叩き込み、林与一が身を守る間もなく、体のあちこちに傷を負った。