319 サプライズ

夏川澄花は呆気にとられて聞いていた。林与一を誤解していたことに気づいたようだが、確信は持てないようだった。

蘇我紬は不安そうに尋ねた。「昨夜...私に何もしなかったの?」

「天地神明に誓って!誓います!」林与一は右手を挙げ、四本の指を天に向けて伸ばした。「僕は君を強制しないと言ったでしょう。どんなに愛していても、そんなことはしません。」

林与一はそのまま告白した。

蘇我紬は顔を真っ赤にしながらも、林与一の気持ちに応えることができず、話題を変えて喜びを表した。「それは本当に良かった!一日中悩んでいたのに、こんなことだったなんて!」

蘇我紬は興奮のあまり飛び上がりそうになった。

彼女は影山瑛志とまだ一緒にいられる。蘇我紬はこの良い知らせを一刻も早く影山瑛志に伝えたかった!

彼に伝えたかった。彼女はまだあの蘇我紬で、影山瑛志の紬であり、もう二度と影山瑛志と離れることはない、ずっとずっと一緒にいると。

「でも林与一さん、もう一つお願いがあるの。」蘇我紬は照れくさそうに笑った。「影山瑛志も誤解しているかもしれないから、私が説明するときに、あなたも説明してくれたら...そうしないと、私たちの関係がどんどん遠くなってしまうから。」

林与一は爽やかに笑い、報われない恋の悲しみは微塵も見せなかった。彼にとって、好きな人が幸せならそれでいいのだった。

彼はすぐに躊躇なく承諾した。「いいよ。今すぐにでも影山さんを呼んで、直接説明すれば、後々面倒なことにならずに済むよ。」

この時点で、夏川澄花はもう確信を持てたはずだった。彼女も林与一を誤解しかけていたのだ。

彼女は二人が影山瑛志への説明について話し合うのを横で聞いていた。

蘇我紬は少し考えて、その案がいいと思った。すぐに携帯を取り出して影山瑛志に電話をかけようとした。「彼に来てもらって、近くのカフェでゆっくり話すのはどう?」

「いいね。」

承諾を得て、蘇我紬は影山瑛志の電話番号を入力し始めた。

以前の携帯は押収されたままで、まだ返してもらえていなかった。

影山瑛志は着信音を聞くと、急いで路肩に車を停め、携帯を取り出して見もせずに出た。

向こうから蘇我紬の声が聞こえてきて、やっと喜びが込み上げてきた。