323 証拠

夏川澄花は林与一のために救急車を呼んだ。

林与一自身も医者で、自分の怪我の状態を把握していたため、病院の入院提案を断り、強く退院を主張した。

家に帰って、SNSを見た時、林与一は影山瑛志が突然激怒し、自分に手を出した理由、そして一撃一撃が激しくなっていった理由を理解した。

トレンドはまだ下がっておらず、林与一はそのビデオを見た。

ホテルの映像だった。

監視カメラがベッドに向いていて、ベッドの上の二人がはっきりと見えた。

林与一は一瞬呆然とし、頭の中が真っ白になった。

彼の記憶では、浴室から出た時、蘇我紬が眠っているのを見て、フロントに着替えを頼んだだけで、自分はソファーで我慢して寝ただけだった。

決して不適切な行為はしていなかった。

しかし、このビデオは……

まるで実際に起こったかのように見える。

まるで……誰かが意図的にそうさせたかのように。

林与一は我に返り、ビデオを夏川澄花と蘇我紬に送ろうとしたが、考え直して不適切だと思い、夏川澄花にメッセージを送り、トレンドを確認するよう伝え、蘇我紬にも遠回しに伝えてもらうことにした。

おそらく、今頃蘇我紬は影山瑛志の離別に悲しんでいるだろう。

夏川澄花もメッセージを受け取って信じられない様子で、トレンドを見た時は目を見開いた。

夏川澄花は蘇我紬にビデオを見せた。

このビデオを見た時、蘇我紬の顔は紙のように真っ白になり、恐ろしいほど蒼白になった。

影山瑛志はこのビデオを見て、だから怒り出したのか。

そして躊躇なく林与一を殴ったのか。

でも、ビデオの中の女性は自分ではない。

蘇我紬は自分の手を強く握りしめ、全身が震えていた。その後、胃の中が激しく波打つような吐き気を感じ、我慢できずにトイレに駆け込んで嘔吐した。

ビデオの中の女性が自分ではないと分かっていても、恐ろしさを感じた。

ビデオの中の女性のために怖くなった。

そう。

ビデオの中の女性の体は蘇我紬のものではなく、上の男性の体つきも林与一とは似ていなかった。

つまり、ビデオの中は顔と環境以外、何も一致していなかった。

その時、林与一からメッセージが届いた。

【紬、ビデオは誰かによって流出してしまいました。もし良ければ、私はあなたに責任を取る用意があります。結婚して、盛大な結婚式を挙げることもできます。】