330 花束を持って会う

でも、これはこれでいいことだわ。影山瑛志が彼女と赤ちゃんのことを本当に大切に思っているからこそ、妊娠の知らせを家族に急いで伝えたのだから。

蘇我紬は病院で長い時間を過ごし、おじいさんと多くの話をした。おじいさんの回復具合が良好なのを見て、一日中気分が良かった。

夕暮れ時、蘇我紬が帰ろうとしたとき、久世澪が彼女の手を引き止めた。「紬、もう少し待ってから帰りましょう」

蘇我紬は少し困惑して久世澪を見つめた。「どうしたの、お母さん?」

影山瑛志はあと2時間で仕事が終わる。もし家に帰って彼女がいないのを見たら、心配するかもしれない。

久世澪は少し目を伏せ、ちらちらと目を動かしながら、「せっかくおじいさんに会いに来たんだから、もう少し一緒にいてあげましょう。普段からおじいさんはあなたのことを恋しがっているのよ」