331 協力

「こんな大事なことを、一言も教えてくれないなんて!」

「そういうことを言ってしまうと神秘感がなくなってしまうでしょう。人生には少しサプライズが必要なんだから!」

感動しないはずがなかった。

蘇我紬の心に暖かい流れが走った。

過去の二年間の契約結婚の中でも、影山瑛志は普段からサプライズを用意してくれることはなく、祝日や記念日に欠かさず贈り物をくれるだけだった。

蘇我紬の心は温かく満たされ、バラの花を受け取りながら、「じゃあ、勉強して許してあげる」と言った。

強がりを言いながらも、花を受け取るとすぐに顔を花の中に埋めて、可愛らしく笑っていた。

影山瑛志は手が空いたので、自然と蘇我紬の片手を取り、彼女を自分の側に引き寄せ、影山海人と久世澪に向かって言った。「おじいちゃん、お母さん、紬を連れて少し出かけてきます。そのまま家に帰りますから。」