江口希美が興奮して承諾しようとした矢先、影山瑛志の言葉の意味に気づき、彼女は意味深な眼差しで影山瑛志を見つめた。「瑛志さん、それは私のお爺様が決めることで、私には決める権限がありません」
「江口さん、考えすぎですよ。あなたは江口家の一人娘で、幼い頃から江口お爺様に可愛がられてきたのですから、お爺様があなたの願いを断るはずがありません」
江口希美は完全に事態を理解し、激しく首を振った。「それは無理です、瑛志さん。まず結婚式を挙げてから契約を結ぶべきです。そうすれば江口家は契約書に記載されているものだけでなく、それ以外のものも提供してくれるかもしれません」
影山瑛志は元々江口希美を騙そうと考えていて、もう少しで成功するところだったのに、相手が気づいてしまった。
騙すのは失敗したが、それでも構わない。