夏川澄花は聞いて、すぐに顔を曇らせた。「紬!」
三人はふざけ合い、和やかな雰囲気の中で、すぐに笑い声が響き渡った。
その夜帰宅すると、蘇我紬はこのことを影山瑛志と久世澪に話した。
久世澪と影山瑛志は当然反対することはなく、ただ何度も何度も体調に気を付けるように、無理をしないようにと注意を促した。
蘇我紬は心が温かくなり、何度も頷いて約束した。
その後の一週間、蘇我紬は毎日この店に来てスイーツのデザインを研究し、夏川澄花と新條結月が一緒にいてくれたおかげで、生活はとても楽しいものとなった。
楽しい日々はいつも早く過ぎ去り、あっという間に一週間が経った。
今日は江口天真が退院する日でもあった。
江口希美は祖父の退院の準備を手伝いながら、笑顔で言った。「おじいちゃん、今日の退院を機に、もう一つ良い知らせを伝えたいの」
「おや?どんな良い知らせだ?聞かせてくれ」江口天真は興味を示し、にこやかに江口希美を見つめた。
「おじいちゃん、よく考えた結果、おじいちゃんの意見に従って、近藤昭陽と結婚することに決めたの。だから、これからは影山瑛志のことを兄のように思うだけで、もう結婚相手としては考えないわ」
「本当か?!」江口天真は興奮した。まさか江口希美が自分で納得するとは思っていなかった。
「本当よ」江口希美は真剣に頷いた。「おじいちゃんは私にとってこの世で一番大切な人。おじいちゃんが選んでくれた人は必ず信頼できる人だと信じているから、試してみることにしたの」
「よかったよかった」江口天真は三度「よかった」と言い、興奮した気持ちが収まらなかった。「では、すぐに近藤家に話を通そう」
「決まったからには、早めに結婚式を挙げよう。そうすれば、早く曾孫の顔が見られるというものだ!」
江口天真は満面の笑みを浮かべた。
ただし、曾孫を抱くことは確実にできないだろう。しかし、孫娘が結婚する姿、最も美しいウェディングドレスを着て、レッドカーペットを歩き、結婚の殿堂に入っていく姿を見たかった。
江口希美の人生で最も重要な瞬間に、欠席したくなかった。
江口希美はそれを聞きながら、荷物を片付ける合間に、すでに何度もこっそりと涙を拭っていた。