病室の外の人々も涙を拭っていた。影山海人の皺だらけの顔にも涙が流れ、唇を震わせながら叫んだ。「江口天真!私の孫嫁を追い出そうとした件はまだ決着がついていないぞ!この件は終わっていない!」
しかし、その人はもういない。皆が悲しみに暮れていた。
江口希美は最後に江口天真のベッドの前で泣き倒れ、近藤昭陽が見つけた時、すぐに彼女を抱きかかえて医者を探しに行った。
医者が江口希美に点滴を打ち、彼女が深い眠りについたのを見て、やっと皆は安心した。
影山海人は年齢的にも限界で、朝も早く起きていたため、悲しみの後で眠気に襲われ、蘇我紬も疲れていたので、影山瑛志はまず影山海人を影山家旧邸まで送った。
蘇我紬を家まで送る途中、影山瑛志は突然近藤昭陽からの電話を受け、スピーカーフォンにした。「瑛志さん、希美が見当たらないんです!どこに行ったのか分からなくて、病院中探しましたが影も形もありません。何か馬鹿なことをしでかすんじゃないかと心配です。」