397 希美が行方不明に

病室の外の人々も涙を拭っていた。影山海人の皺だらけの顔にも涙が流れ、唇を震わせながら叫んだ。「江口天真!私の孫嫁を追い出そうとした件はまだ決着がついていないぞ!この件は終わっていない!」

しかし、その人はもういない。皆が悲しみに暮れていた。

江口希美は最後に江口天真のベッドの前で泣き倒れ、近藤昭陽が見つけた時、すぐに彼女を抱きかかえて医者を探しに行った。

医者が江口希美に点滴を打ち、彼女が深い眠りについたのを見て、やっと皆は安心した。

影山海人は年齢的にも限界で、朝も早く起きていたため、悲しみの後で眠気に襲われ、蘇我紬も疲れていたので、影山瑛志はまず影山海人を影山家旧邸まで送った。

蘇我紬を家まで送る途中、影山瑛志は突然近藤昭陽からの電話を受け、スピーカーフォンにした。「瑛志さん、希美が見当たらないんです!どこに行ったのか分からなくて、病院中探しましたが影も形もありません。何か馬鹿なことをしでかすんじゃないかと心配です。」

影山瑛志と蘇我紬は驚き、影山瑛志が尋ねた。「いつ出て行ったんだ?」

「希美が少し目を覚まして、お腹が空いたと言ったので、食べ物を買いに行ったんです。でも戻ってきたら姿が見えなくなっていて、どうすればいいんでしょう?」電話越しの近藤昭陽は焦りと心配が混ざった様子だった。

蘇我紬は慰めるように言った。「慌てないで。すぐに病院に戻るから、一緒に探しましょう。」

電話を切ると、影山瑛志は蘇我紬を心配そうに見た。「紬、昨夜もよく眠れなかったんだろう。先に家に送って休ませてあげようか。僕が近藤と一緒に探すから。」

しかし蘇我紬はきっぱりと断った。「今は人探しが先よ。それに家に帰っても心配で眠れないわ。希美を見つけてから、ゆっくり休むわ。」

影山瑛志は彼女の言葉にもっともだと思い、そのまま車を走らせて病院に戻った。

到着した時には、近藤昭陽はすでに病院中を探し回って息を切らしていたが、江口希美の病室はまだ空っぽのままだった。

影山瑛志と蘇我紬も病院の警備員に協力を依頼し、多くの医療スタッフに尋ねたが、数時間経っても何の手がかりも得られなかった。