396 最後の対面

一時間後、影山瑛志は影山海人と蘇我紬を連れて病院に着いた。

病院に着くと、冷たい雰囲気が蘇我紬の沈んだ心をさらに重くした。

病室の統一された白色が何かを予感させていた。

蘇我紬は目を閉じ、考えないようにしたが、一歩進むごとに足に鉛を注がれたように重かった。

影山瑛志と蘇我紬は左右から影山海人を支え、影山海人の表情も幾分厳しくなっていた。

来客を見た江口お爺様は起き上がろうとしたが、より一層力が入らなくなっていた。

江口希美は目を腫らして江口天真を支えながら諭した。「お爺様、横になっていてください。お姉さんはとても良い人です。こんなことは気にしないはずです。」

「いや、希美、お爺さんを起こしてくれ。長く寝ていると辛いだろう。」江口天真は江口希美を慰めようとしたが、その様子を見た江口希美の涙はより一層溢れ出した。

やっとの思いで起き上がった江口天真は周りを見渡し、当然蘇我紬の傍にいる影山海人も目に入った。二人は一瞬目が合ったが、すぐに視線を逸らした。「蘇我紬さんと二人で話がしたい。皆さん、少し外に出ていただけますか?」

「お爺様……」

江口希美はここに残って江口天真の傍にいたかった。この最後の時間に、一分一秒も逃したくなかった。

「希美、いい子だから出ておいで。お爺さんはもう少し持つから。」江口希美を見つめながら、江口天真も胸が痛んだ。

彼が何度も主張するので、江口希美は仕方なく皆と一緒に外に出た。蘇我紬はその場に立ち尽くしたまま。

影山海人の視線は最後まで江口天真に向けられていた。出口に向かう直前、突然江口天真に向かって叫んだ。「江口天真!しっかりしろよ!まだお前と決着つけてないんだからな!」

だが言い終わるや否や、目頭が熱くなっていた。

江口天真はその言葉を聞き、影山海人の言葉の意味を理解し、必死に涙をこらえた。

病室にはすぐに蘇我紬と江口天真の二人だけが残され、蘇我紬は傍らの椅子に座った。

蘇我紬を見つめながら、江口天真は重々しく息を吐いてから言った。「前回お会いして、お話しした後で分かったんです。あなたは聡明で優しい女性だと。きっと、私が何を言いたいのか、もう察しているでしょう。」