394 おじいちゃんの退院

江口天真は涙をこらえながら、江口希美を近藤昭陽に託し、すべては言葉にせずとも通じ合っていた。

新郎新婦は互いに微笑み合い、司会者と列席の来賓たちの見守る中で指輪を交換し、目に涙を浮かべた。

蘇我紬と影山瑛志は客席で、瞳に涙を光らせながら、二人の手を固く握り合っていた。

結婚式は順調に進み、式が終わると江口希美は披露宴用のドレスに着替え、近藤昭陽と共に四方の来賓に酒を注ぎ、終始優雅で温かな笑顔を浮かべていた。

それから半月が過ぎ、平穏な日々の中、影山家に嬉しい知らせが届いた。

影山海人が退院できるというのだ!

影山海人は長期の入院治療を経て、常に前向きな心持ちで過ごしてきた結果、医師からは回復状態が良好だと言われ、各種検査の数値が正常となった後、久世澪が退院の手続きを行い、影山瑛志と蘇我紬は病室で影山海人に付き添っていた。