久世澪と影山瑛志は顔を見合わせ、久世澪は喜びの表情が薄れ、ため息をつきながら言った。「あなたがいた頃、おじいさまは誰よりもあなたを可愛がっていたわ。あの時、私たちはあなたが亡くなったと思い込んでいて、おじいさまに大きなショックを与えたくなかったから、ずっと隠していたの。でも翌年、どこからかあなたの死の知らせを聞いてしまって、すぐに倒れてしまったの。退院後はずっと家で寝たきりで、元気もすっかりなくなってしまって...」
蘇我紬はその話を聞いて胸が痛んだ。おじいさまの体は元々とても丈夫だったのに、自分が何も言わずに姿を消したせいで病に倒れてしまったことに、申し訳なさを感じた。
「それなら、家に帰って瑛志の誕生日をお祝いしましょう。家族で賑やかに過ごすのは、おじいさまの病状にもきっといいはずよ」と蘇我紬は提案した。
暁人と瑛志は顔を上げて首を傾げながら蘇我紬を見つめ、暁人が尋ねた。「ママ、ひいおじいちゃんは病気なの?」
「僕たちもひいおじいちゃんに会いに行きたい」と浩司も幼い声で言った。
蘇我紬は二人の子供たちを見下ろし、愛おしそうに兄弟の頭を撫でながら言った。「もちろん暁人と浩司もママと一緒に行くわよ。こんなに思いやりのある子たちだもの、ひいおじいちゃんもきっと喜んでくれるわ」
久世澪は当然とても喜んでいたが、影山瑛志は唇を引き締めて横に立ったまま何も言わなかった。
最後に影山瑛志は早乙女燐にパーティー終了後の処理を任せ、一行はホテルの外へと向かった。
久世澪は暁人と浩司がとても気に入り、どうしても両手で二人の手を繋ぎたがった。
ホテルの外に出るやいなや、暁人と浩司は目ざとく、少し離れた場所に立っている蘇我敬一を見つけ、二人は揃って叫んだ。「おじさん!」
二人の子供たちの反応に、久世澪と影山瑛志は驚いた。
おじさん?
二人とも蘇我紬に兄弟がいたという記憶はなかった。
二人が蘇我紬の方を見ると、彼女は平然とした表情で、まるでそれが当たり前のことのようだった。