第13章：時を温めた少年

「時田浅子のこの小娘め、まだ録音までするとは！」

まだよかった、彼女は他に何も言わなかった。さもなければ、この小娘に一杯食わされるところだった！

「これはどういう意味だ？」林聡明は時田浅子に詰め寄った。

「結婚はもう済ませました。もちろん、この50万を受け取りに来たんです！斉藤愛梨が自ら認めたんですから、このお金は踏み倒せないでしょう？」

林聡明の顔色は最悪だった。

あの藤原家がどんな家柄か、息子はまだ植物人間なのに、彼女は嫁いだのか？

これが後で広まったら、彼の面目はどこにある？

雲都では誰もが知っている、彼林聡明にはまだ前妻と娘がいることを。

時には本当に、この母娘が死んでしまえばいいと思うことがある！

死んでしまえば、もう彼に面倒をかけることはない！

「恥知らずな奴め、手を放せ！」彼は時田浅子に怒鳴った。

「恥知らず？」時田浅子は冷たく笑った。「林聡明、当時母と結婚したのはあなたの意思でしょう！誰かがナイフを首に突きつけて結婚を強制したの？」

「明らかにあなたが婚姻中に浮気したのに、まだ堂々と初恋だの何だのと言い訳して！斉藤愛梨と浮気して真実の愛だなんて言い訳して！あなたは一言の『真実の愛』で、人の心を刺す武器を持てると思っているの？」

「本当に良かった、当時母が離婚したことが。あなたのような偽善的で吐き気がする人と一緒に生活し続けなくて済んだ！」

「当時、あなたは何で金持ちになったの？もしあなたがお金持ちになっていなかったら、斉藤愛梨はあなたに目もくれたでしょうか？」

「彼女が本当にあなたを好きなら、あなたがまだ貧乏だった頃に見向きもしなかったりしないはず！あなたが成功したら、彼女は必死であなたを誘惑した！あなたは彼女に何年も弄ばれてまだ目が覚めない！あなたは卑怯なだけでなく、愚かでもある！」

時田浅子は頭を下げて斉藤愛梨を見つめ、さらに罵った。「見てみなさい、本当に恥知らずな人はここにいるわ！」

林聡明は手を上げて時田浅子に振り下ろした！

「パン！」時田浅子は殴られて目の前が星のように明滅した。

彼女はゆっくりと頭を上げ、林聡明を見つめた。

「これらの言葉は全て、お前のあの死にかけている母親が教えたものだろう、そうだな？」

「林聡明！あなたは私の母について話す資格がない！あなたにはふさわしくない！」

「まだ言わせないとは？お前を見てみろ、今のお前はどんな姿だ！昔はどれほど素直で分別があったのに、結局、お前の母親と一緒にいて、こんな泥棒女のような振る舞いを学んだのか！」

「母は私をとてもよく育ててくれました！私は礼儀正しく、恥知らずな行為も分かります。でも、あなたたちにはふさわしくないんです！」

「お前！」林聡明は再び手を上げた。

突然、一つの影が飛び出して、時田浅子の前に立ちはだかった。

「浅子！」

宮本凪は振り返り、信じられない様子で時田浅子を見つめた。

時田浅子もゆっくりと頭を上げた。

目の前の男性は26、7歳くらいで、灰色のスーツを着て、落ち着いていて物腰が柔らかかった。

「宮本凪？」時田浅子は確信が持てずに呼びかけた。

目の前の人と記憶の中の人が重なり合った。

かつての少年は、今や成熟した落ち着いた男性になっていた。

彼女の鼻先がすぐに熱くなった。

「そうだよ、僕は宮本凪だ！」宮本凪は喜んで頷いた。

「凪兄さん！」林清子も追いかけてきて、宮本凪が興奮して時田浅子の手を握っているのを見て、彼女の心は怒りで満ちた。

そして、地面に倒れている惨めな姿を見た。

「お母さん！どうしたの？お母さん！」林清子は斉藤愛梨を助け起こし、母娘はすぐに抱き合って泣き始めた。

林聡明は傍らの宮本氏夫妻を一瞥し、とても気まずそうだった。

「これが浅子ね？もうこんなに大きくなって。」宮本奥様が前に進み、さりげなく時田浅子の手を息子の宮本凪の手から引き離した。

「おばさま、こんにちは。」時田浅子は挨拶した。