第210章:心惹かれていることに気づかない

「時田浅子、トイレに連れて行ってくれないか」藤原時央が突然口を開いた。

時田浅子はすぐに白沢陸の手から自分の手を引き抜き、藤原時央の背後に回って、彼の車椅子をトイレの方向へ押し始めた。

白沢陸:……

車椅子は自動じゃなかったのか、人が押す必要があるのか?

江川楓は藤原時央が立ち上がれるどころか、二、三歩歩けるとも言っていたじゃないか!

自慢だ!絶対に自慢しているんだ!

まさか自分がいつの日か、藤原時央の恋愛アピールを目の当たりにするとは思ってもみなかった。それも生で見せつけられるとは!

江川楓は藤原時央が離婚したいと言っていたって?

藤原時央の今の反応を見る限り、この結婚が終わるなんて死んでも信じられない!

数分後。

時田浅子と藤原時央がトイレから出てきた。

ちょうどその時、村上部長も人を連れて食事のカートを押して入ってきた。