時田浅子は周囲を見回し、自分の目が足りないと感じた。
ここの装飾はすべて木製で、荘厳さ、華麗さ、豪華さを存分に表現している!まさにお金の香りだ。
藤原時央が休憩エリアに向かうと、時田浅子も彼に続いた。
テーブルの上には切り分けられたフルーツプレートが置かれていた。
もう一つの皿には、様々な果物で作られた飴細工が並んでいた。
サンザシ、ブドウ、ミニトマト、イチゴ、ブルーベリー、バナナ、色とりどりの果物が透き通った飴でコーティングされ、食欲をそそる。
「お腹が空いているなら、先に果物を食べなさい」と藤原時央が突然言った。
「少しお腹が空いています」時田浅子は遠慮せず、イチゴの飴細工を取ってソファに座り、食べ始めた。
彼女はもう何年も飴細工を食べていなかったことを思い出せなかった。
帝都のあたりの飴細工はかなり凝っていて、どんなものでも作れると思っていた。
しかし、もっと凝ったものがここにあった。
飴の層は厚すぎず薄すぎず、甘さも絶妙で、これは間違いなく彼女が今まで食べた中で最も美味しい飴細工だった。
彼女は一口で外側の飴を噛み砕くのがもったいなく、まるでキャンディを最後まで食べられない子供のようだった!
藤原時央は彼女の方をちらりと見ただけで、すぐに視線を逸らした。
なぜか胸の内が熱くなり、喉の渇きを覚えた。
時田浅子は外側の飴を食べ終わると、中のイチゴを一口で噛み砕いた。
鮮やかな赤い果汁が彼女の口角からわずかにこぼれ、小さな口はいっぱいになっていた。
藤原時央は思わず彼女を再び見つめた。
手を上げてネクタイを緩めたが、少し開いた襟元でも彼はリラックスできなかった。
時田浅子はそれを食べ終わると、今度は青ブドウで作られた飴細工を口に入れた。
今夜は、この一皿の飴細工だけで十分だった!
藤原時央は彼女がまた一つ取ろうとするのを見て、すぐに「もう食べないで!」と制止した。
時田浅子は驚き、手に取りかけていたミニトマトを置き、唇についた飴を思わず舐めた。
まるで欲張りな猫のようだった!
この仕草に、藤原時央の視線はさらに暗く沈んだ。
「後で本格的な食事がある」と藤原時央はさらに言った。
「はい」時田浅子はうなずいた。
心の中ではまだ飴細工が気になっていたが、もう食べる勇気はなかった。