第338章:離婚しに行く

彼女の心臓は思わず締め付けられた!

藤原時央は昨夜も、このホテルに泊まっていたの?!

「先輩、先に中に入りましょう。後で出ましょう」時田浅子は柳裕亮の腕を引っ張って、ホテルのロビーに入ろうとした。

彼女は藤原時央と顔を合わせたくなかった。

その高級車のドアが突然開き、高級な革靴が先に地面に着いた。続いて、ピシッとしたスーツの脚が見えた。

藤原時央はスーツ姿で車から降りてきた。

彼の視線は時田浅子と柳裕亮の上に落ちた。

時田浅子は柳裕亮の腕をしっかりと組み、二人はとても親密だった。

この仕草から見ると、時田浅子は確かに柳裕亮に対してストレス反応を起こしていない!

時田浅子は藤原時央が彼女を見つけたことに気づき、逃げることができず、仕方なくその場に立ち尽くした。

柳裕亮は時田浅子を見下ろし、彼女の緊張と落ち着かない様子に気づいた。

彼は逆に時田浅子の手を握り、笑顔で藤原時央に挨拶した。「藤原様、なんという偶然。あなたも昨日このホテルに泊まっていたんですか?」

「時田浅子、こっちに来なさい」藤原時央は時田浅子を呼んだ。

「藤原様、今日は私が時田浅子を学校まで送りましょうか?ちょうど一緒なので」柳裕亮の声が再び響いた。

「今日、時田浅子は学校に行かない。彼女と私にはいくつか用事がある」藤原時央は柳裕亮と話していたが、視線はずっと時田浅子にじっと向けられていた。

時田浅子は顔を上げて藤原時央を見つめ、彼の言う用事が何なのか理解できなかった。

「時田浅子、今日行かなければ、君がまだ何か未練があって、手続きをしたくないと思うかもしれない」藤原時央はさらに言った。

これで時田浅子は理解した。

藤原時央は彼女と離婚手続きをしに行くつもりだった!

彼女はすぐに柳裕亮の手を離した。「先輩、先に学校に戻ってください。この用事が済んだら、学校に戻ります」

柳裕亮はもう主張せず、うなずいた。「じゃあ学校で待っているよ」

「はい」時田浅子は返事をして、藤原時央の車に向かって歩き始めた。

藤原時央は柳裕亮を一瞥してから、やっと身を翻した。

柳裕亮は藤原時央の凛とした姿を見て、今さらながら気づいた。藤原時央は今日、車椅子に座っていなかった。

しかも、藤原時央の動きを見る限り、足に障害があるようには見えなかった。

車はゆっくりと動き出した。