第381章:彼女を拒絶するだけでなく、道も塞いだ

時田浅子は柳裕亮の腕の中に転がり込み、淡い香りが彼女の鼻に入ってきた。

この香りは、藤原時央の身に纏う深みのある香りとは違い、特有の爽やかさがあった。

思わず心臓が高鳴ってしまうような香り。

柳裕亮は自制して手を離し、心配そうに尋ねた。「大丈夫?」

「大丈夫よ」時田浅子は一歩後ろに下がった。

遠くで、二つの人影が病院のロビーから出てきたところだった。

藤原奥様が足を止め、後ろにいた家政婦は彼女にぶつかりそうになった。

家政婦が顔を上げ、藤原奥様の視線の先を見て、驚いた表情を浮かべた。「奥様、あれは若奥様ではありませんか?」

柳裕亮はすでに時田浅子から手を離していたが、ここから見ると、二人はとても親密に見え、まるで熱愛中のカップルのようだった。

「奥様、若奥様は……」