第340章:愛する勇気のない柳裕亮、振り切れない藤原時央

時田浅子は真実を柳裕亮に告げなかった。

なぜなら、彼女はこの件についてまだ疑念を抱いていたからだ。

それに、柳裕亮に多くを知らせる必要もなかった。知れば知るほど、かえって深く巻き込まれることになる。

彼女はあれこれ考えた末、あの林という男は柳裕亮と何か恨みがあるようには見えず、おそらく彼女を狙ってきたのだろうと思った。

彼女は林という男も黒幕ではなく、誰かの手の中の駒に過ぎないと感じていた。

彼女が理由もなく敵視されるのは、一度や二度ではなかった。柳裕亮を巻き込まないのが最善だった。

「あの日、藤原時央が君を救ったのか?君たちは...」柳裕亮は突然興奮し、時田浅子の手を掴んだ。「彼は窮地に乗じたんじゃないのか!」

時田浅子は手を引き抜いた。「先輩、私と藤原若旦那は実は夫婦なんです。」