部屋に戻ると、時田浅子は時田秋染を支えてソファに座らせた。
時田秋染は部屋の調度品を見渡し、幸せそうな笑みを浮かべた。
彼女は前世で銀河系を救ったに違いない、神様がこんなに心のこもった娘を与えてくれたのだから。
「お母さん、疲れてる?まずは座って、お水を持ってくるね」時田浅子は優しく尋ねた。
「疲れてないわ、今は喉も渇いてないの」時田秋染は落ち着かない様子で、部屋の中をあちこち歩き回った。
そのとき、東さんと花田おばさんも荷物を持って上がってきた。
時田浅子はすぐに手伝いに行った。
花田おばさんは時田秋染の介護士で、今日から時田母娘と一緒にここに住むことになっていた。
「花田おばさん、あなたの部屋はこちらです。あまり広くなくて申し訳ありません」時田浅子は丁寧に言った。
彼女は花田おばさんが普通の介護士ではなく、藤原家が手配した人物で、その条件もきっと悪くないだろうと感じていた。
藤原家との関係がなければ、こんなに専門的な介護士を雇うことはできなかっただろう。
「時田さん、そんなに気を遣わないでください。何が申し訳ないことがありますか。まずは片付けをしますね」
「はい、何か必要なものがあれば、直接私に言ってください」
「わかりました」花田おばさんは笑顔でうなずいた。
時田浅子は振り返って時田秋染のところへ歩み寄り、彼女の手を取った。「お母さん、あなたの部屋を見せてあげるね」
時田秋染が住むのは一番大きな部屋で、時田浅子はすでにきれいに片付けていた。
「お母さん、長い間疲れたでしょう。まずはベッドで休んで、私は夕食の準備をするね」
「ええ」時田秋染も少し疲れていて、ベッドに横になった。
退院したばかりで、彼女の気分も良くなり、全体的に顔色もずっと良くなっていた。
時田浅子の心も嬉しかった。
いつか母が自分を去ることになるとわかっていても、その日がいつまでも来ないことを願っていた。
……
数日間、藤原時央は現れず、時田浅子は非常に気楽に感じていた。
朝は学校に行き、放課後はすぐに帰って母親と過ごす。
ようやく彼女が望んでいた日々を送れるようになった。
時田浅子が図書館で自習していると、森山緑からメッセージが届いた。
森山緑はすでに学校外のカフェにいて、仕事の件で話し合いたいことがあるという。