第426章:藤原さまのいない日々は、良い日々

部屋に戻ると、時田浅子は時田秋染を支えてソファに座らせた。

時田秋染は部屋の調度品を見渡し、幸せそうな笑みを浮かべた。

彼女は前世で銀河系を救ったに違いない、神様がこんなに心のこもった娘を与えてくれたのだから。

「お母さん、疲れてる?まずは座って、お水を持ってくるね」時田浅子は優しく尋ねた。

「疲れてないわ、今は喉も渇いてないの」時田秋染は落ち着かない様子で、部屋の中をあちこち歩き回った。

そのとき、東さんと花田おばさんも荷物を持って上がってきた。

時田浅子はすぐに手伝いに行った。

花田おばさんは時田秋染の介護士で、今日から時田母娘と一緒にここに住むことになっていた。

「花田おばさん、あなたの部屋はこちらです。あまり広くなくて申し訳ありません」時田浅子は丁寧に言った。

彼女は花田おばさんが普通の介護士ではなく、藤原家が手配した人物で、その条件もきっと悪くないだろうと感じていた。

藤原家との関係がなければ、こんなに専門的な介護士を雇うことはできなかっただろう。

「時田さん、そんなに気を遣わないでください。何が申し訳ないことがありますか。まずは片付けをしますね」

「はい、何か必要なものがあれば、直接私に言ってください」

「わかりました」花田おばさんは笑顔でうなずいた。

時田浅子は振り返って時田秋染のところへ歩み寄り、彼女の手を取った。「お母さん、あなたの部屋を見せてあげるね」

時田秋染が住むのは一番大きな部屋で、時田浅子はすでにきれいに片付けていた。

「お母さん、長い間疲れたでしょう。まずはベッドで休んで、私は夕食の準備をするね」

「ええ」時田秋染も少し疲れていて、ベッドに横になった。

退院したばかりで、彼女の気分も良くなり、全体的に顔色もずっと良くなっていた。

時田浅子の心も嬉しかった。

いつか母が自分を去ることになるとわかっていても、その日がいつまでも来ないことを願っていた。

……

数日間、藤原時央は現れず、時田浅子は非常に気楽に感じていた。

朝は学校に行き、放課後はすぐに帰って母親と過ごす。

ようやく彼女が望んでいた日々を送れるようになった。

時田浅子が図書館で自習していると、森山緑からメッセージが届いた。

森山緑はすでに学校外のカフェにいて、仕事の件で話し合いたいことがあるという。