この瞬間、この雰囲気の中で、時田浅子は我を忘れていた。
彼女は全身の力を振り絞って藤原時央の腕をつかみ、やっと立っていられた。
藤原時央は彼女にキスし、絡み合うように続けた。
最後に、時田浅子は藤原時央に抱かれてベッドに戻された。
全身の力が抜け切ったように、ただ小さく息をするだけだった。
彼女はこれまで、一つのキスがこれほど命取りになるとは知らなかった。
「シャワーを浴びてくる」藤原時央は振り返り、バスルームへ向かった。
時田浅子は布団を引き寄せ、体を丸めた。
全身がまるで蟻に噛まれているような感覚だった。
さっきバスルームで藤原時央に抱かれていた時、汗をかいたが、今はすっかり乾いて、むしろ寒さを感じていた。
どんな季節でも、生理中の数日間は、彼女の体はいつも冷え切っていた。
時には真夏でも湯たんぽを抱えることもあった。
ここには湯たんぽがないので、自分自身を抱きしめるしかなかった。
藤原時央がバスルームから出てきて、バスタオル一枚だけを巻いていた。時田浅子が丸くなっているのを見ると、すぐに体の水分を拭き取り、ベッドに横になった。
「また具合が悪くなったのか?」彼は手を布団の中に入れ、時田浅子の冷たい小さな手に触れると、眉をきつく寄せた。「エアコンの温度が低すぎるのか?」
「もう29度に設定してあるわ」
藤原時央は時田浅子を向き直らせ、彼女をしっかりと抱きしめた。
熱い胸元に触れて時田浅子はとても心地よく感じたが、彼がシャワーを浴びたばかりで入ってきたことが気になった。服を着ることはできないのだろうか?
彼女は手の置き場に困っていた。
「これで少しはよくなった?」藤原時央は優しく尋ねた。
「う、うん、少しは...ただ...」時田浅子は言いかけて止めた。
「ただ何?」
「服を着てくれない?」
「大丈夫、僕は恥ずかしくないから、好きに見ていいよ」
時田浅子:……
彼女はそもそも見たくないのだ。
藤原時央は彼女が素直に彼の腕の中に寄り添うのを見て、心がとろけるほど柔らかくなった。
時田浅子はこんな状況では眠れないだろうと思っていたが、藤原時央の腕の中に入ってほんの少しで、夢の世界へと入っていった。
普段この数日間は、夜中に痛みで何度も目を覚ますのに、昨夜は一度も痛みで目覚めることがなかった。