第450章:彼の傲慢さを見よ

斉藤若春は窓辺に立ち、下の二つの人影を見つめながら、目に一筋の恨みを浮かべた!

「斉藤さん、退院手続きをされますか?」看護師が入ってきて尋ねた。

「はい」

「もう一日様子を見てから退院されたほうがよろしいのでは?」

「結構です。すぐに退院手続きをお願いします」斉藤若春は強く言い張った。先ほどまでの弱々しい様子はどこにもなかった。

藤原時央がすでに来たのだから、彼女がここにいる意味はもうない。

SNSに投稿してから自殺未遂まで、このゲームはまだ始まったばかり。

「水滴石を穿つ」という言葉があるではないか。

彼女は信じなかった、藤原時央の心が石よりも硬いなんて!

……

時田浅子と藤原時央は藤原家の本邸に戻った。

老人は居間に座り、表情はあまり良くなかった。

「せっかくの週末に私と過ごすと思ったのに、また浅子をどこかに連れ出したのか?」

「おじいさま、少し用事があって出かけていました」時田浅子は老人の前に進み、藤原時央の代わりにこの質問に答えた。

彼女は斉藤若春のことを言及するのを避けた。老人がまた怒るのを恐れたからだ。

「用事は済んだのか?今度は私と過ごす時間だな?今は涼しくなったから、私の小さな菜園を見に行かないか?」

「はい!」時田浅子はうなずいた。

藤原時央は一緒に行かず、書斎に戻った。

書斎に入るとすぐに江川楓に電話をかけた。

「尊御クラブの駐車場の監視カメラを調べてくれ」

「かしこまりました」

藤原時央はやはり真相を明らかにしたかった。

彼は人に計算されることが嫌いだった。それが彼の底線だった。

……

時田浅子と老人は菜園に行き、たくさんの野菜を収穫した。

夕食の食卓には、老人が自給自足で育てた成果が並んでいた。

しかも時田浅子が自ら料理したものだった。

藤原時央の食欲の良さに、老人と大木嵐は驚いた。

つまり、以前の好き嫌いは全て気まぐれだったのだ!

時田浅子は老人と散歩に出かけ、戻ってきてからも老人に呼ばれて囲碁を打った。

祖父と孫は和気あいあいとしていた。

藤原時央は時計を見た。もう8時だった。

彼は時田浅子の前に歩み寄り、碁石を一つ動かした。

老人は自分の大きな陣地が封じられたのを見て、怒って藤原時央を睨みつけた。

「碁を見るなら黙って見るのが君子というものだ、わからんのか?」