時田浅子は顔を赤らめながら出てきて、困惑と恥ずかしさで「ご飯をよそってきます」と言った。
「花田おばさんがもう用意してくれたわよ」と時田秋染は笑いながら答えた。「浅子、先に座りなさい。時央が出てきたら、食事を始めましょう」
時田浅子がダイニングテーブルに座ると、藤原時央も出てきた。
小さなテーブルには全部で4つの席があり、藤原時央は時田浅子の隣、ちょうど時田秋染の向かいに座った。
時田秋染はすぐに藤原時央の首元にある赤い痕を見つけた。
さっき入ってきたときにはなかったのに!
藤原時央は時田秋染が自分の首を見つめていることに気づくと、わざとネクタイを緩め、ボタンを一つ外して、そのキスマークをはっきりと見せた。
時田秋染はすぐに理解した。
この痕は、さっき二人が洗面所にいたときにできたものだ!
彼女の気持ちはまるでジェットコースターのようだった。
先ほどまで心配していたのに、まさか二人の関係がこんなに進展しているとは!
時田浅子も母親の視線に気づき、藤原時央を見ると、彼の首元の痕に気がついた。
藤原時央は突然手を伸ばして、彼女の頭を撫でた。
言葉なくして全てが伝わった。
時田浅子:……
あの痕は、自分とは全く関係ないのに!
「時央、さあ、食べましょう。今日は全部浅子が作った料理よ。浅子の腕前を味わってみて」時田秋染は熱心に藤原時央におかずを取り分けた。
藤原時央は、義母の家に来ると、状況が完全に逆転したように感じた。
愛され、大切にされている。
「浅子、自分のことばかり考えないで、時央にもおかずを取り分けてあげなさい。彼が何を好きか知っているでしょう?たくさん取ってあげて」と時田秋染は時田浅子に言った。
「浅子が作ったものなら、何でも好きです」と藤原時央が答えた。
「彼はこんなに大きな大人なのに、3歳の子供じゃないんだから、自分で食べたいものを取れるでしょ?」と時田浅子は小声でつぶやいた。
「大丈夫、自分でやります」藤原時央はおかずを一つ取って時田浅子の茶碗に入れた。
時田浅子が顔を上げると、また藤原時央の首元の痕が目に入った。
これは彼が自分でつけたの?
さっき洗面所でつけたの!?
彼は藤原時央なのに!
どうしてこんなことをするの?
「何を見ているの?」藤原時央はわざと聞いた。