彼は金恵の手を払いのけた。「まだ用事があるんだ。お前は早く休め。明日の番組収録に遅れるなよ。時田浅子の側には森山緑がいる。何かするなら、少しは頭を使え。」
「わかったわ。今日は私が不注意だった。」
「何かあったら、いつでも連絡してくれ。」佐木晴樹は立ち上がって去っていった。
金恵は足を組んで、得意げな笑みを浮かべた。
「運が向いてくると、本当に天も味方してくれるものね。番組に参加しただけで、時田浅子に会えるなんて。」
……
時田浅子はシャワーを浴び、ベッドの端に座っていた。
ちょうど携帯が鳴り始めた。
藤原時央はすでに3回電話をかけていたが、時田浅子はどれも出なかった。
「なぜ電話に出ないんだ?」
「今シャワーを浴びていたの。」
「今日の番組収録で何かあったのか?なぜあんなに長引いたんだ?」