藤原時央は声を出さず、表情もあまり良くなかった。
白沢陸はこれ以上何も言えず、うつむいて食事を続けた。
藤原若旦那のこの挫折した表情は本当に食欲をそそるね!
……
帝都の高級マンションの一室。
金恵はお風呂に浸かっていた。突然、バスルームのドアが開き、佐木晴樹が何の遠慮もなく入ってきた。
「今さっき連絡を受けたんだが、また君の出演作品を一つ確保した。桜井天音との共演だ。主役ではないが、大きなIPものだ。君が演じる役はとても人気が出るだろう。うまく演じれば、同じように有名になれる」
金恵は内心喜んだ。この仕事は彼女にとって、確かに悪くなかった。
「この仕事は、本来なら絶対に君のところには回ってこなかったはずだ。今、君に与えられたんだ、わかるだろう?」
「わかります、もちろんわかります!晴樹兄さんのご指導に感謝します!必ず晴樹兄さんに恩返しします!」金恵は佐木晴樹に手を伸ばし、色っぽい表情で言った。「晴樹兄さん、ちょっと手を貸してくれませんか?長く浸かりすぎて、もう立てないんです」
「直接抱き上げた方が便利じゃないか?」佐木晴樹は笑いながら前に進んだ。
彼は多くの美女を見てきたが、金恵のような女性は彼の目に入らなかった。
しかし、金恵は気が利くし、積極的だった。
男性が積極的な女性を拒否するだろうか?
10分後、佐木晴樹はベッドの頭に寄りかかってタバコを吸い、金恵はドレッサーの前に座ってボディローションを塗っていた。
「時田浅子は今回確実に消えるの?私が聞いたところでは、藤井監督はかなり怒っていて、まだ演出チームとも和解していないそうよ。番組の総監督と藤井監督の関係はとても良いから、もしかしたら時田浅子を残すかもしれないわ!時田浅子は藤井監督に取り入ったんじゃないの?」金恵は柔らかい声で尋ねた。
「時田浅子は藤井監督か総監督を頼るしかない。私が思うに、彼女が総監督に会いに行く可能性の方が高いだろうな」佐木晴樹は分析した。
「じゃあどうしましょう?長谷監督がどれだけ権力を持っていても、せいぜい藤井監督と対抗できる程度でしょう」金恵の表情はすぐに変わった。
「何を恐れる必要がある?明日、君のために総監督との食事の約束を取り付けた」
「彼は承諾したの?」
「ああ、承諾した。しっかり振る舞うんだぞ」
「晴樹兄さんご安心を」