藤原時央は時田浅子を見つめ、深く息を吸い込んだ。
彼女は辛い思いをしても、彼との関係を公にしたくないのだ。
だから、この期間の彼女の従順さは何を意味するのだろうか?
この恋愛において、彼女はいつでも身を引く準備ができていた。
「この件については、私は関わらない」藤原時央はそう言うと、立ち上がって寝室へ向かった。
時田浅子は彼の背中を見つめ、複雑な気持ちになった。
人は他人に依存すべきではない。依存しすぎると習慣になってしまう。藤原時央も彼女に対して、いつかは飽きる日が来るだろう。
彼がいる間は、彼を通りすがりの人だと思おう。
彼が去ったら、最初から来なかったことにしよう。
30分後、藤原時央は寝室から出てきて、すでに入浴を済ませ、服を着替えていた。
「会社に行くから、出かけるなら江川楓に電話して送ってもらいなさい」藤原時央はそう言い残し、歩き出した。