突然、胸に抱いた小さな女性が伸びをして、また彼の胸元に潜り込んだ。
藤原時央は急いで携帯を置き、彼女をしっかりと抱きしめた。
時田浅子はまだ目覚めておらず、深く眠っていた。
藤原時央は思わず考えた、ネット上のあの状況を彼女は知っているのだろうか?
彼女は絶対に知っているはずだ!
だから、昨日彼女が森山緑と一緒にバーに現れたのは、この件が理由なのか?
藤原時央は時田浅子がまた深く眠ったのを見て、ゆっくりと体を動かしてベッドから降り、部屋を出てリビングに来ると、森山緑の携帯に電話をかけた。
森山緑は藤原時央からの電話を見て少し頭が痛くなった。
彼女も無視する勇気はなかった。
電話に出るとすぐに挨拶した。「藤原社長、おはようございます。」
「番組収録の時に何か起きたのか?」藤原時央は直接尋ねた。
森山緑は深く息を吸った。彼女は知っていた、この件は藤原時央から隠し通せるものではないと。今、藤原時央が彼女に電話をかけてきたということは。
きっと、時田浅子がまだ彼に話していないということだろう。
「藤原社長、私は浅子と約束したんです。彼女のことについては、あなたに密告しないと。よろしければ、浅子さん本人と話し合ってください。こういったことは彼女自身の口から聞いた方がいいと思います。」
藤原時央は何も言わず、電話を切った。
振り向くと、時田浅子がドア口に立ち、眠そうな目で彼を見ていた。
「起きたの?」藤原時央は彼女に近づいた。
時田浅子は思わずあくびをした。
彼女は起きたわけではなく、実はまだとても眠かった。ただ、寝返りを打った時にベッドが空っぽだったことに気づき、急に違和感を覚えたので起きただけだった。
彼女は一つの問題に気づいた。藤原時央が一緒に寝てくれると、彼女は明かりをつけなくても怖がることなく、真っ暗な環境でもスムーズに眠りにつけ、しかも、とてもよく眠れるのだ。
最初は、藤原時央と一緒に寝ると体力を使い果たすからよく眠れると思っていた。しかし徐々に、体力を使おうが使うまいが、彼女はいつもぐっすり眠れることに気づいた。
藤原時央は彼女を抱き上げ、部屋に戻った。
「さっき、森山緑に電話したんだ。」彼は突然口を開いた。
時田浅子が自分から話そうとしないなら、彼から積極的に聞こうと思った。