「緑ねえさん!」時田浅子が声をかけた。
森山緑はすぐに時田浅子の方向に歩み寄った。
「私の予約は11時半だから、そろそろ時間ね。先に入りましょう。話しておきたいことがまだいくつかあるの。」
「はい。」時田浅子はうなずき、森山緑の後に続いた。
11時半になったが、長谷監督の姿はまだ見えなかった。
森山緑はさらに10分ほど我慢して待ったが、耐えきれずに長谷監督に電話をかけた。
「森山さん、本当に申し訳ありません。こちらで急な会食が入ってしまって、どうしても抜け出せないんです。こうしましょう、食事は遠慮しますので、こちらが終わったらすぐに向かいますが、よろしいでしょうか?」
「わかりました。では、ここで長谷監督をお待ちしています。」森山緑は電話を切った。
「どうだった?来ないの?」時田浅子はすぐに尋ねた。