第485章:良心に手を当てて答えなさい

時田浅子の心は彼の接近によって、絶えず加速し、呼吸すらできなくなり、窒息しそうだった。

藤原時央は時田浅子がスポーツウェア姿であることに気づき、彼女と森山緑はお酒を飲みに来る約束をしていたわけではなく、思いつきで来たのだろうと推測した。

今日は彼女の番組が放送されたのではないか?

彼女はサンライト団地に残って、母親と一緒に番組を見ると言っていたのに、どうして出かけてきたのだろう?

「君が森山緑とこんな場所に来るなんて」藤原時央が突然口を開いた。

時田浅子は眉間にしわを寄せた。「あなただってここにいるじゃない?」

藤原時央:……

「女の子はこういう場所に出入りするべきじゃない。これからは、私と一緒でない限り、こういう場所には来ないで、わかった?」

「森山緑はよく来てるし、中には女の子もたくさんいるわ。もう2022年なのに、女の子が酒場に来てお酒を飲むのがどうしたの?」時田浅子は反論した。

「2022年だから女の子がお酒を飲みに出かけてはいけないというわけではない。私の女の子だからダメなんだ」

私の女の子……

この四文字が、時田浅子の心を抑えきれないほど震わせた。

頭が真っ白になり、何も言葉が出てこなくなった。

藤原時央は時田浅子がそれほど飲んでいないと思った。彼女の酒量は実はまあまあだし、それに、フルーティーな香りがするので、アルコール度数も高くないはずだ。

「どれくらい飲んだ?道もまともに歩けないほど酔っているじゃないか」藤原時央は優しく尋ねた。

話している間も、彼は距離を縮めたままで、温かい息が彼女の頬に吹きかかり、かすかなミントの香りが薄い空気と共に彼女の肺に入り込んだ。

まるで、二人が一体になったかのようだった。

時田浅子はさらに後ろに下がろうとしたが、すでに座席に背中がついていた。

藤原時央はさらに近づいてきて、次の瞬間にはキスしそうだった!

「私は酔ってないわ、二杯しか飲んでないもの」

「酔ってないなら、どうして手すりにぶつかったんだ?」

「エレベーターを出たとたん、あなたと斉藤若春が一緒にいるのを見て、ちょうど斉藤若春があなたに告白しているのを聞いて、見入ってしまって、手すりに気づかなかっただけよ」時田浅子は小声で説明した。