「そうですね、今回の協力が実現したのは、斉藤社長が本当に多くの心血を注いだからです。きっと藤原社長との関係があるからこそ、こんなに熱心になれたのでしょう」斉藤若春の隣にいる、スーツを着た秘書のような人物が突然口を開いた。
確かに、宮本凪の力だけでは、この件を進めることはできなかっただろう。
藤原時央は手元の資料を閉じた。
「私の知る限り、以前は我が国と貴国の間で医療面での協力はそれほど多くなかったはずです。薬物を導入した後、我が国では大きな需要が生まれ、最大の利益を得るのはむしろ貴方たちのはずです」藤原時央は公務的な口調で言った。
斉藤若春は藤原時央の方向を見つめ、「時央、今回の薬物導入は単なる公務ではないわ。私は完全に私心から、この薬が京都病院に十分に供給されることだけを望んでいるの。そうすれば、浅子のお母さんは薬の問題に悩まされることがなくなるわ」