彼女はまだ、白川健斗が藤原時央に委託されて状況を把握するためだけに来たのだと思っていた。
まさか、本当に京都の株式の大権を握る人物が藤原時央だとは!
藤原時央はずっと医療分野に手を出す考えがなかったのではないか?
なぜ彼は京都病院の経営権も自分の手中に収めようとするのか?
もしかして、時田浅子のためなのか?
斉藤若春の心の中で怒りが湧き上がったが、彼女はその怒りを必死に抑え込み、少しも表に出さないようにしなければならなかった。
本来、彼女がこのことをしたのも、藤原時央に見せるためだったのだ。
時田浅子が斉藤若春を見たとき、彼女も驚きの表情を浮かべた。
最も彼女を驚かせたのは、宮本凪が斉藤若春と一緒に座っていたことだった。
もしかして、宮本凪が資金の問題を考える必要がなくなったと言ったのは、斉藤若春の援助があったからなのか?