第556章:藤原さまの策略、一つずつ繋がっていく

藤原時央は笑いながら携帯電話を彼女の手に渡した。

時田浅子は急いで携帯を持って部屋に戻った。

藤原時央は台所へ向かい、片付けを始めた。

時田浅子が電話を終えて出てきて、皿を洗おうとしたとき、藤原時央はすでに片付けを終えていた。

藤原時央の服についた水滴を見て、彼女はゆっくりと近づいた。

「これからお皿を洗うときは、エプロンをつけて」

「これから……」藤原時央は意味深な笑みを浮かべた。

時田浅子は彼の意図をすぐに理解し、慌てて説明した。「特に意味はないわ、ただ注意しただけ……」彼女の言葉が終わる前に、藤原時央は彼女の腰をしっかりと抱き寄せた。

彼女は顔を上げ、彼を見つめた。彼の目は笑みに満ちており、彼女の心は完全に乱れてしまった。

「君に特別な意味がないのはわかっている。でも、私にはある。これからはエプロンをつけることを覚えておくよ。君が言ったことは全て覚えておく」

時田浅子はもう彼と目を合わせる勇気がなかった。彼の熱い視線に溶けてしまいそうだった。

「買い物に行くんじゃなかった?今から出かけましょう」

「ああ」藤原時央はうなずき、彼女の腰から手を離した。

このままもっと抱きしめていたら、今日は外出できなくなるかもしれない。

30分後、時田浅子は藤原時央と一緒に彼らの住宅区の地下ショッピングモールに到着した。

彼女は車で出かけると思っていたが、エレベーターで地下1階に降り、少し歩くとそのショッピングモールの入口だった。

このショッピングモールはとても広かったが、客の姿はほとんど見えなかった。

時田浅子はこのような環境がちょうど好きだった。人に認識される心配がないからだ。

「普段はここで買い物してるの?」時田浅子は藤原時央に尋ねた。

「来たことはない。必要なものがあれば、直接届けてもらっている」

そのとき、店員が近づいてきた。「お客様、何かお手伝いできることはありますか?」

「すみません、ショッピングカートはどこにありますか?」時田浅子は小声で尋ねた。

「当店ではショッピングカートは必要ありません。各商品にはコードがついていますので、お客様はスマートフォンでスキャンするだけです。お買い物が終わりましたら、私たちにお会計とお伝えください」

「わかりました、ありがとう」

「どういたしまして。他に何かご要望はありますか?」